あたしは兄を探しています。
「もう、いいよ。ありがとう。ありがとう、茜ちゃん」
「リュ、ウ君…」
「そんだけ沢山聞けたから、もう、いいんだ」
「まだ他の事、言ってない」
「まだあるの!?茜ちゃんはサービス精神旺盛だなぁ」
まだ抱き締めたまま、離してくれないリュウ君の声が頭の上から聞こえる。
キツく抱き締められてて顔を上にあげれない。
あたしは、頭の上からの笑い声を聞きながら続けた。
「リュウ君は、あたしとサクにとって大事な人だよ。それだけは誰が何と言おうと譲らない。例え、リュウ君が誰かにいらないって言われたとしてもだよ。あたし達にはリュウ君は必要な存在。あたしにとってのリュウ君はそんな人だよ」
「……」
あれ?笑い声が消えた。むしろ返事もない。
えっ、何?怒ったの!?図々しいんだよ、不細工って思ったの!?