あたしは兄を探しています。
「あー、なるほどね」
「めんどくせー」
「まぁまぁ、茜ちゃんの為だと思って頑張れよ」
「ん」
という会話を繰り広げられているが、あたしには何が何だか全く分からない。
「まっ、お疲れ様」
何て言ったら、ギッとサクから睨まれた。何故。
「ムカつくから、俺5時間目出ねーわ」
なんだそりゃ。
そう言ってあたしの隣に寝転がる。
「ん」と右手を出された。きっとこれは屋上の鍵を渡せという事なのだろう。
なのであたしは、制服のポケットから鍵を出してサクの手のひらにポトッと落とす。
その鍵を握ってそのままパンツのポケットに入れた。