28才の初恋
 まばたきをしてるだけなのに、というか呼吸をしているだけでも。
 いいや、存在しているだけでも背後からスポットライトで照らしているんじゃないだろうかというような――後光が差しているように見える。
 これがデキる新人が持っているオーラなのだろうか?

 思わずというか……確実に見とれる。見とれてしまう。

 自分でもハッキリと分かるくらいに、息が『ハァハァ……』となっている。
 少しでも気を抜けば、このまま池田くんに飛び掛って、押し倒してしまいたいほどの衝動に駆られている。

――い、いかん……!

 そう思い、どうにか我に返った。
 私は上司なのだ!しかも部下からの信用も厚い『デキる上司』なのだ!
 そんな行動をして部下からの信用を失うわけにはいかない!!
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