28才の初恋
「え? どうしたんですか!? どっか痛いですか!?」

 急に泣き出してしまった私を見て、大樹クンが焦ってしまっている。
 彼は何も悪くない。
 むしろ優しさが嬉しくて泣いてしまったのだが……上手く説明が出来ない。

「ご、ゴメン。何でもないの……何でも」

 そう言うのが精一杯だった。
 自分が情けなくて、俯いてしまう。

「――課長らしくないですよ!」

 俯く私の両肩を、不意に掴まれた。
 顔を上げると大樹クンがニッコリと微笑んでいる。
 
――その顔は……太陽のように見えた。
< 101 / 518 >

この作品をシェア

pagetop