28才の初恋
 だが、今の声は……大樹クン!?

 いくらデキる新人とはいえ、営業二課では一番の新人である大樹クン。
 気を使ってお茶を入れて来てくれたのだ!

 た、大樹クンが淹れてくれたお茶……飲むのが勿体ない。

 出来ればポットに入れて持ち帰り、家で神棚に飾ってしまいたい気持ちである。
 だが、他の人間が見ている手前、行動に移すことが出来ないのが非常に悔やまれる……。
 
 と、とにかく。
 せっかく大樹クンが淹れてくれたお茶なのだ。大事に飲まないといけない。
 だが、その前に……大樹クンの指が触れていた辺りを周囲にバレないように丁寧に舐めてみる。

 微かに大樹クンの味が……するような。
 いやいや、気のせいかもしれないが、それでも!私にはハッキリと大樹クンの味を感じられるのよっ!

……一時間くらいはかけて、じっくりと飲もう。
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