28才の初恋
「どうもこうもね……今日そちらの担当がウチに来る予定だったでしょ?」

 桃代部長の口調は、激しさこそ抑えているものの、それでも怒っていることはハッキリと窺える。
 
 『恒久』の担当者は……大樹クンだ!
 確か『先方の担当の方が不在――』と言っていた。
 何か、そこに行き違いでも在ったのだろうか?

「はい、池田からご不在だったと聞いていたのですが……何か失礼がございましたか?」

 怒っている理由がまだ分からない段階だ。
 私が握っている情報を素直に開示していくしか出来ない。

「いや、不在だったのは確かなんだけどさ。ソチラから送られてきたFAXだよ。なんだね、あれは?」

 私はまだ確認していなかったのだが、どうやら問題は桃代部長に送ったFAXのようだ。
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