28才の初恋

1-2

 私のツンデレ発言に凍りついたオフィスを背に、ダッシュでトイレに駆け込んだ。
 便座に腰掛け、未だに動悸と震えの激しい身体を無理矢理に落ち着かせる。

 嫌なドキドキではない、むしろ気持ち良いドキドキだ……。
 目の前にあるトイレの扉でさえバラ色に見える……自分でも呆れるほどの高揚感がある。

――この感情は、本当に何だというのだ?

 池田くんを見た瞬間……私の心身に起こった異常事態。
 頭の中がこんがらがって、池田くん以外が視界の中に入らなくなった。

 いきなり心を惹かれて、全てを捧げてしまいたいような衝動に襲われて。
 まるで『運命』のようなものを感じて……。
 まさか……まさか!?
 私は『恋に落ちて』しまったのだろうか!?
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