28才の初恋
 拳を握って、顔を俯いて……肩も震えている。
 怒ってこういう行動ならば構わないのだけれど、落ち込んで、かつ思いつめてこの行動は……マズい。私の経験上、これは非常にマズい!!

 かつての上司や部下、同僚でこういう表情や格好をしている人間を何人も見ている。
 そして、そういった人間のほとんどがこの後に選ぶ道は……退職だったぞ!!

 まさか……まさか大樹クンも……!?

 い、嫌だ!ダメなんだからねっ!!
 大樹クンが居なくなるなんて、そんなの耐えられない!
 しかし、『成す術無し』な状況になってしまい、今にも大樹クンはそれを口にしてしまいかねない……どうする?私!?

 上司がどうとか言っていられない。
 大樹クンのツラそうな顔をこれ以上見ていられない。
 もう、こうなれば……大樹クンを好きな女として行動してしまうべきか……?
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