28才の初恋
「だ、ダメーっ! 絶対にダメー!!」

 誰も居なくなったオフィスに私の絶叫が虚しくこだました。
 うーん、さすがに一人きりで長時間オフィスに居て連絡を待っているとはいえ、大樹クンをモデルにしたホモ小説を書いてしまうとは……我ながら病んでいると思う。
 しかも、我ながら良いデキだ。
 これくらいのデキならば一部からはナカナカの評価を受けることが可能なんじゃないだろうか?

……って、こんなことをしている場合じゃないか。

 時刻は二十時十五分。大樹クンがオフィスを飛び出してから早くも六時間近くも経過している。
 ちゃんと桃代部長に会うことが出来たのだろうか?
 会えたとしても、ちゃんと謝罪することが出来たのか?

……もしかして、私が書いた小説のような展開に……って、さすがにそれは無いか。
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