28才の初恋
 えーと、また取り乱しかけた。
 話を元に戻そう。

 結論から言えば、桃代部長の要求は。
 『取引をこれからも続けたければ、私たちの誠意を見せろ』
 ということらしい。

 つまり、商品の価格を下げてくるなり。桃代部長を接待しろ……と言い換えることが可能なわけだ。

 うーん、大樹クンの声が未だに厳しいはずだ。
 確かにここから先はヒラ社員の大樹クンの一存ではどうにもならない。
 
「うん、良くやったわ。今日はもう……そのまま家に帰りなさい」

 大樹クンにはそう指示を出す。
 商品の価格を下げるにせよ、桃代部長を接待して機嫌を取るにせよ――今日の段階で大樹クンに出来ることは残っていない。

――大樹クンは頑張ったよ!後は私に任せて!
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