28才の初恋

3-7

 私が今日したことと言えば……。

 お茶を淹れてもらって、大樹クンを引っ叩いて、大樹クンをモデルにしたホモ小説を執筆して……って、お礼どころか罵倒されてもおかしくないような行動しかしていない自分に改めて気付かされる。

「う、うん……」

 曖昧な返事をしてみるが、我ながら何にお礼を言われたのかまるで分かっていない。

「今日、課長が発破をかけてくれなければ……俺、逃げるだけになるところでした」

 いや、私なんてどうやって大樹クンをこの状況から逃がそうか、ということばっかり考えてました……。

「課長が俺の頬を引っ叩いてくれたおかげで、俺……冷静になれました。本当に……何てお礼を言えば良いのか」

 う……。叩いてしまったのは我ながらやりすぎかと思っていたが……感謝されるとは!
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