28才の初恋
 雀荘は、いつ来てもタバコの煙で充満している。
 周囲の客層はオッサンに暇そうな学生、私のような女性が居るはずもなく、明らかにこの場で浮いて……いや、我ながらこの場に若干馴染んでしまっているのが悲しいところだ。

 マージャンのルールは完全に把握している。
 いや、把握しているどころかかなり上手い方に分類されるくらいの腕前は持っている。
 他の人を接待する時に打ったことがあるから、というワケでもなく学生の頃に完全にマスターした。
 もっとぶっちゃけて言えば、バイトで代打ちをしていたこともあったり……。

 あの頃は色々あったなー。
 ヤク○の縄張りを賭けて関西チーム対関東チームで団体戦をしたり、相手が大金を賭ける代わりに私は自分の血液を賭けて一晩に渡る死闘を繰り広げたり……それに比べると随分と私も平和に暮らして、恋なんてしちゃったり。

 い、いや!そんな黒い過去は置いておいて。
 ともかく、マージャンをすることに関しては何も問題はない。
 今日のところは桃代部長に勝たせて、気分良く帰ってもらうとしよう。
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