28才の初恋

　雀荘から電車の駅まで、大樹クンと並んで歩く。
　桃代部長はさっさとタクシーに乗せて送り帰したし、これは……ちょっとしたチャンスじゃん！？

　場所は銀座で、並んで歩く男女二人。
　何の展開も無いワケがない！

　……とはいえ、こんな絶好のチャンスを生かすことが出来ないからこそ、未だに大樹クンと私は『上司と部下』という関係なのだが……。
　逆に聞こう！どうすれば大樹クンとの仲を少しでも進展できるのか！と！！

　こうやって考えながらスタスタと歩く間にも、着々と東京駅は近付いている。
　このまま駅に着いて「今日はお疲れ様でした」と言ってお別れになるんだろうなー。
　そして、私は部屋に戻って大樹クンの写真と差し向かいで晩酌をするといういつもの行動を取ることになる……と。

　ああ、昔はもっと気軽に男の人相手でも「どこかでご飯食べに行かない？」とか言えたのに……どうして今は出来なくなったのだ！？