28才の初恋
 大樹クンの気が変わらないウチに。

 腕をガシッと掴んで目に付いた居酒屋に引っ張り込む。
 さすがにラブホとかには連れ込めないが、居酒屋くらいなら躊躇いなく引っ張り込めるぞ!!

「さあ! 何を食べる!? 何を頼んでも良いわよ!!」

 断っておくが、私は極めて冷静だ。
 確かに大樹クンと二人きりで食事ということで多少は興奮しているが、ちゃんと冷静さを保っている。
 もし冷静じゃなければ『それとも私を食べる!?』と勢いで聞いているところだ。

 大樹クンの両目が点になっているが、私と二人きりだから目を逸らすことはない。
 うーん、二人きりって良いねえ!
 大樹クンを見つめても不自然じゃないぞ!

 と、甘い雰囲気を楽しんでいると店員がオーダーを取りに来た。チッ!邪魔なヤツだ。

 まあ、居酒屋だから注文取りに来るのは当然なのだが……とりあえずビールでっ!!
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