28才の初恋
「ウヒヒヒヒ……大樹クンも飲んでるー?」

 テーブルの上にはピッチャーが八杯並んでいる。
 すでに気持ち良くなってて記憶は確かではないけれど……店員が三回ほどピッチャーを片付けに来たとことまでは覚えているぞ!

「いや、もう充分っ! 充分飲んでますよ!」

 大樹クンからも敬語が消えて、何だか良い感じだ。
 思えば遠慮がちな話し方しかしてきてくれていなかった大樹クンなのに、いやーお酒の力って偉大だよね!

 二人とも明日も仕事があるし、仕事が終わったら桃代部長をキャバクラで接待しなければいけない、という状況なのだけど。
 やはり私も大樹クンも多少なりストレスを抱えていたのだ、思っていた以上にお酒が進む。

 調子に乗ってオカワリを続けるうちに、ほどほどというラインを軽く超えて、すでに二人とも泥酔と呼んで差し支えの無い状態になっていた。
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