28才の初恋
「いやー、でも嬉しいなあ」

 急に、何の脈絡もなく大樹クンが言い出した。
 ん?何が嬉しいんだね?
 私は大樹クンとお酒が飲めるだけでも楽しいが……大樹クンは何が楽しいのかな?

「んー? 何か良いことでもあったん?」

 ベロベロになりつつ、頭の回らない状態で大樹クンに問い返す。
 こうやって大樹クンの楽しそうな顔を見ているだけで私は幸せだぞ?
 ここで大樹クンが嬉しくなれる理由を聞かせてもらえば、きっともっと幸せになれるぞ?

「いやー、課長みたいな綺麗な人と二人きりで飲めるなんて……こんなチャンス滅多に無いですよー」

 大樹クンが真っ赤な顔でそんなことを言う。
 な、何を言ってるんよー!
 そんなこと言っておだてたって……全開でサービスしてあげるくらいしかっ!!
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