28才の初恋

4-5

 意識を取り戻したとき、私は自分の部屋のベッドに寝ていた。
 何だか……とても素敵な夢を見ていたような……。

 店員にラストオーダーを告げられて、店を出て……そのまま大樹クンにおんぶされながらタクシー乗り場まで連れて行ってもらって……。
 大樹クンの背中の上で『大樹クン、大好き!』って絶叫して……それでタクシーに乗って……その先の記憶がまるで無い。

 うーん、私はパジャマに着替えてるし。
 ちゃんと自分の部屋に居るし。

……夢、だよね?

 うん、夢に決まってる。大樹クンとご飯に行って。そこで少し酔っ払って。
 家に帰ってから寝て見た夢に決まってる。
 そうでなければ、大樹クンが私に向かって『課長みたいな女の人がタイプなんです』なんて言うはずが無い!!

――もう一度寝て、夢の続きを見よう。
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