28才の初恋
 それに比べれば……桃代部長なんて軽いもんだ!
 
――急に楽観的な気持ちになってきた。

 本当に大樹クンを好きになって良かった。
 そう心から思うのだ。
 こんな気持ちにさせてくれる。
 傍に居るだけで……楽しい、前向きな気持ちになれる。
 こういうのを……本当の恋と呼ぶのかな。

 自分にこんな素敵な初恋を体験させてくれている、目の前でオロオロしている男を愛おしい気持ちで見つめる。

「さあ、失敗は気にせずに……帰るわよ! また月曜から桃代部長の機嫌を取らないといけないんだからねっ!」

 そう言いながら、大樹クンの背中をバシーンっと叩いた。
 今は上司と部下の関係しかないけれど……それでも少しずつ距離は近付いているのだ。

――仕事と同じだ。仕事も……恋も、死ぬ気でやれば不可能なことなんてないさ!!
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