28才の初恋
 慌てて立ち上がるのに、テーブルが邪魔で……片足をソファの方に持ってきたのは確かだ。
 その際に、脚を上げる場所を確認してなかったし、仕事の話を持ち出すために私の場所が桃代部長の隣になっていた、というのも悲劇が起こった一端だろうか……って!
 そんなことをノンビリと考えている場合じゃない!!

 私の履いていたヒールの踵、それが桃代部長のフトモモの部分に深く喰い込んでいる。
 正直、さっきまで罵倒されていた私にとってはざまあみろ、という気分が多少……無いでもないけれど。
 それでも、この行動はさっき異常に事態を悪化させてしまうこと間違い無しだ!!
 は、早くどけないと!!

「も、申し訳ありません!!」

 慌てて桃代部長に謝る。
 こうなってしまうと、大樹クンを制止するのは後回し……って、大樹クンも目が点になってしまい、桃代部長への抗議を忘れている。
 
――結果オーライ!……って、そうじゃない!
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