28才の初恋
 一晩グッスリ寝て、少し疲れが抜けた土曜日。
 時計は十一時を指している。
 ゴミ溜めと化した部屋の中をモゾモゾと這い回る。

 ふぃー、この幸せをあともう一日は味わえる。
 土日が休みというのは、本当に幸せというものだ。
 部屋に溜まったゴミの山も『幸せフィルター』を通じて見れば子供の頃、庭の中に作った秘密基地のように……見えなくもない。

 と、とりあえず掃除や洗濯のことを考えなければ、この週末はヒマをしていても良いわけである。
 ならば、ここはその辺りには完全に目を瞑って、休むことに徹するべきだ。

……ウン、そうに違いない!

『休めるんやったら、好きなだけ休まんかーい!!』

 ホラ、私の中に住んでらっしゃる『ナ・マーケ・モノー四世伯爵さま』もそう仰っていることだし。

――せっかくだから、二度寝しようかな……。
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