28才の初恋
 目の前で消えたビスケット、その謎を解くためにビスケットの袋に書いてある賞味期限を確認する。

……賞味期限が十六年前になっていた。

 うーん、記憶の糸を辿ってみると小学校の遠足でオヤツ用としてこれを買ったような憶えが……微かにある。
 引越して来る時に一緒に持ってきて……そのまま深い地層に埋没していた、ということだろうか?

――えーと、物持ちがいいということで……。

 ビスケットのことは無かったことにして、コーヒーをブラックのまま、一気に喉に流し込む。

 き、休憩終わり!!
 早く掃除を片付けて、コンビニにお弁当を買いに行こう! 
 風化しない食べ物が欲しいんだー!!

 まあ、風化させたのは私なんだけどさ。
 そこは敢えて触れないでおきたい。
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