28才の初恋
 危ないところだった。
 コンビニにお弁当を買いに来て、大樹クンに出すお茶菓子が無かったことに気が付いた。
 せっかく大樹クンが来てくれるというのに、お茶と一緒に出せるお茶菓子さえ用意できない女だと思われてしまうところである。
 
 朝のコンビニは微妙に弁当の品揃えが悪く、とてもではないが好みの商品が置かれていない。
 少ない商品の中から、『特製ウルトラデラックス幕の内弁当』と『本格冷やし油そば大盛り』をチョイスしてペットボトルのお茶と一緒にレジに向かう。

 大樹クンに出すお茶菓子は……レジの後ろに並んでいる進物用の高級なクッキーを!
 どうせ出すならば最大級のおもてなしを……!!
 勝負パンツならぬ勝負クッキーである。

「あ、ちょっと待ってね!」

 レジを打つ店員を待たせる。
 私以外に客は居ないことだし。この際だからコーヒーもドリップ式の良いヤツを買って帰ろう。
 勝負コーヒーだ!

――後は媚薬でも売っていれば完璧なんだけど……。
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