28才の初恋
「あ、課長……!」

 姿を現した私に、スグに気が付いた大樹クン。
 私が居ないことで、かなり待たされていたのだろう、本当に申し訳ない気分になる。

「ハァ……い、池田……くん。ハァ……お、おまた……ハァ……せ」

 息が切れて上手く喋れない。
 ここまで息を整えるヒマも無いほどに急いだのだ、足元もフラフラである。

「あの……その格好……」

 大樹クンに言われて気が付いた。
 そういえば……私、ジャージのままだった。

 いや、一応コレは『おでかけ用のジャージ』なんだけどね。
 それでも大樹クンの前で着るような服ではない。大樹クンの指摘はもっともだと思う。

 約束の時間には遅れるわ、恥ずかしい格好を大樹クンに見られるわで……ボロボロだ。
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