28才の初恋
 私のあまりにもイキナリな提案に、みんなキョトンとしている。
 まあ、みんなの気持ちは良く分かる。
 注目を浴びてしまい、穴があったら入りたい気分でイッパイだ。

「び、ビアガーデンですか?」

 ようやく反応してくれたのは橋本だ。
 みんなが固まっている中、どうにか動きを取り戻して聞き返してくれた。

「う、うん。暑気払いに……どうかな?」

 いや、無茶な提案だということは自分でも分かっている。
 これだけ雨の降っている日にビアガーデンは無い、私だって誘われてもさすがに断るだろう。
 実際、課のみんなもさすがにこの誘いは断ってくる。
 また、晴れた日に行きましょうよ、といった雰囲気である……が。
 どこにでも、敢えて空気を読まないというタイプの人間は存在するようで。

「あ、俺付き合いますよ!」

――え?ま、マジですか!?

 大樹クンだけが、私の誘いに乗ってきた!
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