28才の初恋
「その……何だか言いにくいんですけどね」

 少しの間、互いに無言な状態が続き、この話題は強制終了かな?
 そう思っていたのだが、大樹クンが短い前置きをした。

――え?語ってくれるの!?

 いや、嫉妬することは確実なんだけど、それでもやっぱり知りたい。
 複雑な気持ちだけどね。

 大樹クンが語ってくれるというならば是非聞かせて欲しい。
 探偵や刺客や殺し屋を雇うかどうか決めるのは話を聞いてからだ!

 私があまり興味を示しすぎると大樹クンが話しにくくなるかもしれない。
 そう思って、冷静に聞くフリをする。

 モチロン、心の中ではバリバリの前傾姿勢である。
 前のめりなんてモノじゃない。
 全身でテーブルの上に乗り上げてしまいたい気分だ。
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