28才の初恋
「……み、身近に居るんじゃないかな?」

 ちょっと遠まわしに言ってみた。
 これでもかなり勇気を振り絞った結果だ!

 これで『小島さんも可愛いですよね』なんて答えが返ってくれば、その場でアルコール度数の高いウォッカを全身にかぶって身体に火を放ってやろうと思う。
 というか、この言葉に対する大樹クンの返答が……大樹クンが私を女として見ているかどうかのバロメーターになるのではないだろうか?
 
――息を飲んで大樹クンのリアクションを待つ。

 大樹クンはテーブルに並んでいる肴のフライドポテトを一口かじって、それから言葉を出す。

「そうですね……気になる人は……いるんですよね」

 な、何だ、そのスゴく気になる言い回し!
 私か?小島か!?それとも受付のマリちゃんか!?取引先に女の人っていたっけ?

……私だったら良いんだけど。
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