28才の初恋
 と、こんな感じで大樹クンとの距離は縮まるどころか、逆に遠くなっているような日々である。

 あの飲み会の日も、病院で目が覚めた大樹クンは私へのお礼もそこそこにスグに家に帰ってしまったし……ひょっとして、嫌われたのだろうか?

――それは……すごく困る!

 せっかく大樹クンのうわ言で、彼が私に好意を抱いてくれているかもしれないと分かったのに……それで、いきなりこんな展開とは。
 私の最近は、このガラスのハートにヒビが入りまくりである。

 心の慰めとなっているのは、もはやペットのきーちゃんくらいなもので。
 この子がいて、会社から帰ったら愚痴を聞いてくれるからこそ精神の安定を保てているような状態である。

 そして、今日も夕方の退社時間まで大樹クンとマトモに話す機会も無かったわけで。

……そろそろ泣いても良いだろうか?
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