28才の初恋
「ただいまー……って、あれ? いない?」

 リビングに入ると、きーちゃんは部屋の中に居なかった。

 いつもならば部屋に居て、テーブルの上で微妙な球形になっているのだけど。
 それを抱き上げて、そうそう、きーちゃんはどうやら食事の時以外はモノを溶かさないらしい。
 おかげで撫でてあげることも出来るようになったし、抱き上げて頬ずりすることも出来るようになった。

――散歩に行ってるのかな?

 私が居ない時、きーちゃんは排水溝を出入り口として散歩に出掛けていることがあるようで、私の帰宅ときーちゃんの帰宅がバッタリと被ったことがあって判明したことである。

 まあ、外出して何をしているのかは分からないけど。
 その辺りはあまり関知しないようにしている。

 ペットと飼い主の間にもプライベートは必要だと思うし。
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