28才の初恋
(うう……今日も大樹クンと話ができなかったなあ……)

 きーちゃんの居ない部屋で一人でソファに座り、その上に置いてある『大樹クンぬいぐるみ』を抱き締めながら今日の一日を思い返す。

 このぬいぐるみ、どうやらきーちゃんには気に入らない存在のようで、何度言い聞かせても溶かしてしまい、このぬいぐるみで既に五代目となる。
 きっと、私がこのぬいぐるみを抱き締めて、キスして、頬ずりするのを見て嫉妬しているのだろう……可愛いヤツである。

 しかし、今日は大樹クンと接することが出来なかったわ、帰ってもきーちゃんは居ないわで……どうにもツイてない日である。

 お昼に買った新商品の『熊の手のハチミツ漬けサンドウィッチ』もイマイチはずれだったし……運気が下がっているとしか思えないような日常である。

――でも、まだ希望はあるのだ!
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