28才の初恋
「そういえばぁ、池田クンが十五分ほど遅れるって、私の携帯に電話してきてたんですよぉ」

――え?ええ?ええええええええええ!?

 な、何ですと?
 大樹クンが小島に遅刻の連絡を入れてたって……ちゃんと旅行に来るというのは安心だけど。なぜ、なじぇ私の携帯に連絡を入れないの!?
 
――どうして小島の携帯に連絡を入れてるの?

 いかに最近の関係がギクシャクしているとはいえ、この社員旅行の責任者は私である。
 その私ではなく――わざわざ小島に連絡を入れるとは……本当に私は大樹クンに避けられているのだろうか?

 大樹クンとの仲を修復し、楽しい旅行にするつもりであるのに……何だか最初からとてつもなく暗雲が立ち込めている。

 でも……負けないんだから!
 むしろ、燃えてみせるんだから!!
 
――既にくじけそうなのは……内緒にしとこう。
< 340 / 518 >

この作品をシェア

pagetop