28才の初恋
 いや、そうだとすれば辻褄の合う話である。
 大樹クンに気がある私を、彼女が出来た大樹クンが避けるというのは分からない話ではない。
 それに、寝坊して遅刻をするという連絡だって、彼女にならば気軽に頼めるし……。

――ああっ!小島に確かめるべきか!?

 当たっていて欲しくない予想だが、ここ最近のことを考えると当たっている確率は極めて高いような気がする。
 
――決して認めたくはないが……。

 ここは……勇気を出して聞いてみる!
 落ち着け、落ち着くんだ、私!!

 あくまでも大樹クンに気がある女としてではなく、部下の動向を気にしている上司を装って、小島に問い質すんだ。

「ね、ねえ! 一つ聞きたいんだけ……ど?」
「あ、私ぃ、そろそろお風呂に浸かりますね」

……タイミングを逃した。
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