28才の初恋
 湯船に入り、小島の隣に腰掛ける。
 私が何を思っているか知る由もない小島は口を半開きにしてボケーっとしながら湯に身体を浸している。

――く……こんな女と付き合ってるとして……本当に諦められるのか?

 まだ、私の予想の域を出ていないのだが。
 それでも、仮定の話だとしても腹が立つ。

 これから小島に『大樹クンと付き合ってるの?』という質問をして、『そうですよぉ』なんて返事がくれば……そのまま殴りかかってしまいそうだ。

 やっぱり、聞き出さない方が良いのだろうか?
 しかし、それでも聞いてみた方が良いような気がするし……。

 小島は私がこんなに悩んでいるとも知らずに、「良いお湯ですねぇ」なんてのん気に話しかけてきてるし。

……とりあえず、探りだけでも入れるか?
< 371 / 518 >

この作品をシェア

pagetop