28才の初恋
 身体をザッと拭いて、浴衣を羽織る。
 化粧すら直さずに脱衣所を出て小島を追いかける。

 小島の発した『ヘヘヘ』の意味を聞かないことには……落ち着いてなどいられない!

 きっと、小島も着替えを置きに部屋に戻ったはず。幽霊の出る部屋なので、しばらく一人きりにしてやろうか、というイジワルな考えも浮かんだのだが……今は大樹クンとの関係を聞き出すことが先決だ。

 私も部屋に戻ることを決めて、脱衣所の扉を開けた。

「あ、出てきましたねぇ」

 扉から出た瞬間に声が聞こえて、声がした方に振り向くと……小島が立っていた。
 化粧をキッチリとして、いつもの会社で見る小島の顔である。
 どうやら、私が風呂から出てくるのを……待っていたようだ。
 
 一体……何を企んでいるんだ!?
< 377 / 518 >

この作品をシェア

pagetop