28才の初恋
 自分のあまりにも子供じみた反論に、恥ずかしくなって黙り込んでしまう。
 小島はそんな私を満足げに眺めてる。

 何回かウンウンと頷いてみせてから、小島は再び私に話しかけてきた。

「ほらぁ、だったら素直になりましょうよぉ。私も応援してますからね」

 そう言われて、ハッとして小島の顔を見ると――小島は満面の笑みを浮かべていた。
 その小島の優しい表情に……私はなぜか泣きたいような気分に襲われる。

 もう、何が何やら分からないままに……私は小島の胸に顔を埋めて泣いてしまっていた。

――埋めるだけの胸があるのが、後から思うとちょっと癪に障るのだけど。

 それを思ったのは……かなり後のことになるので今は置いておこう。
 小島の胸に顔を埋めて泣いてしまった私は、そのまま心の内にしまっていたものを爆発させるように言葉を吐き出していた――。
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