28才の初恋
 ともかく、他の人にきーちゃんが見つからないようにしなければ。
 犬や猫ならばともかく……きーちゃんはペットとしてはキワモノすぎる。
 見つかれば騒動が起こることは必至だ。

「大人しくしとくのよ!」

 裸のままできーちゃんを抱き上げて、脱衣所の中に誰も居ないかを確認する。
 師匠はすでに脱衣所にはおらず、中は無人であることが確認できた。

 露天風呂の中に、私と小島しか居なかったのは不幸中の幸いだったと言える。
 もし他の人が居れば、きっときーちゃんを見られて大騒動に発展していたことだろう。

 脱衣所に入り、バスタオルで自分の身体と、まだ少し濡れているきーちゃんの身体を拭いて浴衣を着る。

 そのまま浴衣の中にきーちゃんを隠しながら自分の部屋に戻った。
 部屋の中では小島がお茶を飲みながら座っている。
 得体の知れない物を見て、不安になっている気分を落ち着かせていたのだろう。
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