28才の初恋
「あ……ゴメン。足が滑っちゃって」

 ビール瓶を取ろうとして、少し立ち上がったら足が滑って、それで手が浴衣の中に入ってしまった。

 そんな風にして誤魔化せたぞ!
 今日のアタイは一味違うわよ!!
 これが小島式小悪魔恋愛術よ!

 本当に使える恋愛術である。
 駅前の本屋に売っていれば、思わず手にとって買って帰りそうな内容の充実度である。
 これを充分に活用して、今日こそは大樹クンとの距離を縮めてみせる!

 大樹クンは私に乳首を摘まれても、照れてはいるけど笑っている。
 お酒のおかげもあるだろうが、すこぶるご機嫌のようだ。

 ヨーシ、この調子で行けば、この宴会が終わる頃には私と大樹クンの関係を飲み会以前の避けられることの無い状態に戻せるはず!
 
――しかし、焦りは禁物ですよね!師匠!!

 学習して、余裕を持った私!
 これが『スーパー杏子・パートⅡ』よっ!!
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