28才の初恋
 どれだけ私が焦らないように、と思っていても。大樹クン、私の背後で未だに失神している磯野にかなり飲まされていたようで。
 既にかなりの酔っ払い状態である。

 これ以上飲ませると確実に病院送りになってしまいそうな程に顔が真っ赤になっている。
 さらに、呂律もかなり怪しい。

「池田クン、もう少し抑えて飲まないと……」

 気遣う言葉をかけてみる。
 これは小島式小悪魔恋愛術ではない。
 私の本心から出た言葉である。

 このまま倒れられてしまうと、大樹クンとの関係を修復するどころでは無くなってしまう。
 私も実はけっこう飲んでしまっているので――勝負は必然的に短期決戦になりそうな様相を呈している。

 邪魔が入らなければいいけど……と思い宴会場を見渡す。

 宴会はかなり盛り上がっていて、座敷の中央では小島VS男子社員による『大野球拳大会』が開催されている。
 一人と多数なので、あっという間に師匠が素っ裸にされてしまうのではないかと、多少心配していたが……逆にそこいら中に全裸の男子社員が増産されていっている。
< 411 / 518 >

この作品をシェア

pagetop