28才の初恋
「その、れすねぇ……」

 頭をポリポリと掻いて、モジモジとしている大樹クン。うーん、可愛いなあ……。
 アッサリと答えないということは、お酒の量が足りてなかったのかな?
 でも、これ以上飲ませると本当に意識を無くしてしまいそうだし。
 と、悩んでいると、心配するほどの事もなく、大樹クンは続きを話し出した。

「課長の顔が……マトモに見れないんれす」

 私の顔が……?そんなにマズい顔かな?

 そりゃあ、二十八歳にしては化粧しても高校生にしか見えない童顔だとか、妄想してると悟りを開いたお釈迦様のような顔になっていると言われた事はあるけど――マトモに見れないほどにマズい顔をしていたのだろうか?

 悩む私の疑問を晴らすように、大樹クンが続けた。

「課長を見ると……恥ずかしくて赤面しちゃうんれすよぉ」
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