28才の初恋
 核心をつくような事を聞いてしまって良いのだろうか?
 こんな酒で意識が飛びかけている時に聞くのは卑怯じゃないか?

――でも、聞きたい。

 私の中を強い思いが支配している。
 大樹クンが私をどう思っているのか?

 今ならば……その答えが聞けるのだ。
 でも、それは反則なんじゃないか?
 大樹クンが私を避けているような素振りになる理由は聞き出せた、嫌われていたわけじゃない。
 
――それで充分じゃないのか?

 自分を必死に説得してみる。
 知りたい気持ちはあるけれど、それをしてしまうと……私は卑怯者になってしまう。

――でも……聞きたい!

 その思いが私の頭の中をドンドンと侵攻していく。
 止めようとするが――勢いは衰えることを知らず。

「ね……大樹クンは、私のこと……好き?」

 質問は、私の意志を無視して、勝手に口から出てしまっていた――。
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