28才の初恋
 ああ……壮大な失敗を犯したのかもしれない。
 大樹クンの両目が点になってるし、口もポカンと開いている。

――恥ずかしい上に計画も大失敗……である。

「あ、あの……俺が恥ずかしいというよりも。その……課長が……」

 うん、その通りです。
 何だかとっても恥ずかしい。
 でも、いそいそと座るわけにもいかないわけです。
 今、すぐに座ると私も大樹クンも恥ずかしさが倍増することが分かりきっているわけで。

……なんて思っていると――クラッとキタ。

 緊張の連続ですっかり忘れていたのだ。
 そういえば……私、ノボせかけていたんだ。
 それなのに、一気に立ち上がったり、大声を出したり……大樹クンに裸を見られて頭に血が上ったりしたようで。

 これだけの状況が重なって……私は……露天風呂の中で……意識を失った。
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