28才の初恋
 そんな私の気持ちとかは関係なく。
 社員旅行は順調にスケジュールをこなしていく。

 大樹クンは私とも世間話のようなものには応じてくれているので……関係は元に戻ったとは言えるのだが……『気にしてない』ってどういうことなんだ!?
 その答えだけが聞けず、モヤモヤした気持ちのままで行動を続けているような状態だ。

 お昼ご飯は電車の時間もあるので、正午よりは少し早い時間に済ませることになった。
 場所は、昨日私が一人で食事をした駅前の食堂に入ることになった。

 食堂のおばちゃんが、私を見るなり『湯葉カツ丼特盛』を壁のメニューから剥す姿が見えた。

――ええ!?大樹クンのことが気になって、あまり食欲が無いからそれぐらいの抑えたボリュームの料理が食べたかったのに!

 まあ、何度も無料で料理を食べられては敵わないというおばちゃんの気持ちも若干は理解できるのだけど。
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