28才の初恋
　全く――大樹クンのことが無ければとんでもなく魅力的な話である。

　こうやって、通常の仕事をしていてもどうしても引き抜きのことが頭に浮かんでしまう。
　少し休憩して、頭をリフレッシュさせるか……そう思って、ＰＣから目を離した時、オフィスのドアが開いた。

――まるで、いつぞやの妄想のようなシュチュエーションだな。

　そう思いながらドアの方に視線をやる。
　これで入って来るのが大樹クンならば、本当にいつぞやの妄想と一緒になるのだが……。

　だが、オフィスに戻って来たのは本当に大樹クンだった。
　午前中の外回りを終えて、オフィスに戻って来たらしい。

「戻りましたー。あ、課長だけですか？」

　まあ、妄想のようなことが起こるはずも無いことは分かっているが――それに近いようなことが起こればいいな、とは思っている。
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表紙・目次

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