28才の初恋
 大樹クンは自分でちゃんとおハシを持って、『おろしトンカツ弁当』を自分で食べている。

 そんなサッパリ味のものを食べるなんて、夏バテでもして食欲が無いのだろうか?
 少し心配になってくる、今夜あたり食事でも誘って、私が行きつけの鍋屋さんにでも連れて行ってあげようかな?

 そこで出してくれる『特製マムシ酒』を飲めば夏バテなんて一発で直るし、私がいつも注文する『漢方薬がたっぷり入ったヘルシー海亀鍋、鹿の角エキス入り』でも食べさせてあげれば一年は風邪もひかない健康体でいられるんじゃないだろうか。

――ヨシ、お昼ご飯を食べ終わったら誘ってみよう。

 そう思いながら、大樹クンの食事の様子を眺める。言うまでもなく、私は自分の『タコ焼きサンド』を食べ切ってしまっている。

 今は二リットルペットボトルに入った、食後の青汁を飲んでいるところである。
 私が一気にペットボトルの中身を半分ほど飲み干して、容器を机の上に置いたと同時に――大樹クンが私に向かって手を伸ばしてきた。
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