28才の初恋
 『ガタンッ!!』

 電車に激しい音が響く。

 私の身体が、電車内で発生する重力に浮かされてしまう合図になる音だ……。
 身体にグッと力を入れて、少しでも飛ばされないように、周囲に押し潰されないように踏ん張る。

(上司として、アドバイスをっ!!)

 そんなことを考えながら、カバンを胸に抱きしめてギュッと身を縮める。
 いつもならば、このカーブの地点で身体を周囲の人に押し潰され、一日の精神エネルギーゲージの半分ほどを奪われる……さあ、耐えるぞー、耐えるぞ……って、いつもの衝撃波が来ない?

 揺れと一緒に、いつもの通り身体は少しだけ地面から浮いたはずなんだけど、いつもならばこの後にググッとくる重みがあるんだけど……あれ?
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