28才の初恋
 改めて大樹クンの顔を見ると、かなり驚いたような表情をしている。

――まさか……ネクタイをしゃぶったのがバレたか!?

 水分を出来るだけ残さないようにしゃぶったつもりだったのに、微妙に浸み込んでしまった唾液の存在に気付かれてしまったのか……!?

 ネクタイをしゃぶったのがバレてしまったのならば、どうやって言い訳しようか、と考えながら。
 恐る恐る……視線を大樹クンの胸元に移動させる。

 しかし、ビックリしたのは私の方だ!

「い、池田クンこそ何なの!? これは!?」

 大樹クンの胸元を見た私の方がもっと驚いた。視線を移動させて見た大樹クンの胸元は……。
 唾液ではなく血で塗れていたからだ!!
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