28才の初恋
「え? 俺が……? うわっ!!」

 私に言われて、大樹クンも自分の胸についた大量の血痕に気が付いたようだ。
 だが、本当に慌てるのはここからだった。

「いや! これ課長の血ですよ!!」

 ええっ?私の……血ぃ!?
 言われてみれば、大樹クンの血まみれになってしまっているあの辺りは……私が顔を埋めていた部分である。

……ということは。

 自分の顔を軽く手の甲で拭う。
 そこにベットリと付着してきたのは……私の大量の鼻血だった!!

――道理で、ネクタイを吸っている時にも微妙に血の味がしたような気が……。
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