28才の初恋
「あ、あの……スイマセン!」

 大樹クンに貰ったティッシュを鼻に詰めていると、いきなり大樹クンが謝ってきた。
 
――ウン?何を謝っているのだろうか?

 鼻血でスーツを汚したのは私だし、さらに言うならばネクタイも私のヨダレでドボドボなわけで。

 私が謝らないといけないことは多々あるだろうけど、どうして大樹クンが謝っているのだろうか?
 むしろ、謝られるよりも罵られた方が気分的には嬉しい……いやいや、そうじゃなくて。

「俺の身体が……鼻に当たったんですよね?」

――ああ、なるほど。そういう風に勘違いをしたということか!

 実際には鼻に大樹クンの身体が当たったわけではない。
 私の妄想が鼻血という形で噴出したのだが……これは誤魔化すチャンスか?
< 65 / 518 >

この作品をシェア

pagetop