28才の初恋
「じゃあ、池田くんは瀬戸くんの課に――」

 部長が私の王子様……じゃなくて、真ん中の彼を紹介する。
 池田クン、そうか、池田クンって言うのね!
 覚えた、もう絶対に忘れない!というか、私も池田になるよ!
 合法的に名字を変えてみせるよ!!

……って、うおっ!マジか!?マジでこの人が私の部下ってか!?

 これは……?この感覚は一体何なのだ?
 やたらと胸がドキドキして、やたらと目の前がクラクラとする。
 手のひらには汗が滲んで、喉だってカラカラだ。

 これは……緊張?緊張しているのか?私は!?
 いや、でも……緊張と呼ぶには若干違う感覚も混じっているような気もしている。
 やたらとワクワクしているような浮遊感。
 小学校の頃にあった、楽しい遠足の前の日。
 その期待感を百倍にもしたような、心が沸き立つような感覚。

――一体、私の身体は……どうなったんだ!?
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