君と星空の彼方
いや…そんなわけないか。


ある訳ないじゃん。瞬間移動とか、超能力とか…




「ホシノ様」

「わああぁっ⁉︎」


後ろを振り向くと、声から何となく思ってたけどムルがいた。


「ムル……今、教室の中に…」

「いましたね」

さらっと相変わらず涼しい顔で言うムル。



「いや、でも私今ドアの前にいてですね…」

思わず敬語になってしまう。

まあ、普通初対面の人には敬語が普通なんだろうけど…

別にムルはいいかなーとか思っちゃってたし。



「そんなことでぎゃあぎゃあ騒がないでください。ちょっと能力を使って幻を作っただけです…教室の中に、生徒全員がいますので。

入ってください」


はいはい…今ムルの口から『能力』とか『幻を作って』なんて言葉、私は聞いていないことにしよう。

しかもぎゃあぎゃあ騒ぐな、って遠回しに言ってるよね、絶対…



まあ、触れないのが1番1番…


動揺しまくる心を無理矢理平常心で押し込める。


けど…今、

「『生徒全員』って言った?」

「はい」


中学生全員って、私の前の学校の場合何百人だよ?



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