気づけばキミと恋に落ちて
〝ドライブ〟がダメなら〝遠回り〟


その言葉に騙されて、つい頷いてしまった。


「んー、そうかな?」
「そうですよ。みんな頑張って仕事してるのに、わたしはただ宗ちゃんの隣にいるだけなんですから…」


普通なら、妬まれたって仕方ないのに、逆にみんなに囲まれて宗ちゃんと、どんなことがあったか聞かれる。


なにもあるわけないのに。


事実を話すと決まって全員、つまらなさそうにため息をはき、それぞれ仕事に戻る。


それはそれで、疲れるんだけど…。


って、なにもあるわけがないのに、なにを期待してんだか。


「そんなことないだろ?はるちゃんは朝早く出勤して、掃除して、オレに珈琲まで入れてくれて」
「いや、それはっ……」


たまに見かけるイケメン男性が気になって仕方ないんです‼︎なんて、言えない…。言えるわけないっ。


< 20 / 380 >

この作品をシェア

pagetop